左は12オンスのモールスキン。色はドラブブラウン。にわかに言葉だけでは判断しかねる色です。
2ドル98セントと、紹介されている中でも高価で、そのぶん、後ろ身頃の中心、さらに股下部分は地縫いした部分をテープで補強してあります。
真ん中三つはすべてKhaki、いわゆるチノだと思います。厚みのバリエーションごとに三種類。作りは極細の玉ブチポケット、場合にはよっては後ろにフラップポケットと、これもトラウザーの定番的デザインです。
右、9と1/2オンス、8オンス、二種類の厚みをもったブラック・グレイストライプのモールスキントラウザーズです。
イラストからは、ベルトループの上下が帯に流し込まれているように見えます。今でも有名なディッキーズのワークパンツなどで使われている手法ではないでしょうか。
”Neat black and gray striped pattern gives them a dress trousers
appearance”
「おしゃれなブラックとグレイのストライプパターンがドレストラウザーズの印象を与えてくれます」
とあります。
モールスキンというタフな素材に要所をカンヌキで止めたタフな縫製、しかしながらどこかドレスウェアの雰囲気も漂わせようと、すでに当時から考えられていたことに驚きます。
つまり、1920年代後半には、単なる機能性を追い求めるだけのワークウェアだけではなく、すでにそこにドレスウェアの雰囲気を加えるような素材・商品の企画開発がおこなわれていたわけです。
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