縫製


今回、シャツを実際に見ていただけるとわかるのが、多用されたチェーンステッチです。

もともと、アメリカのビンテージワークウェアは量産を前提に設計されています。

そのため、糸替えが少なくて済む、チェーンステッチミシンを頻繁に使います。

ただ、一口にチェーンステッチと言っても、縫製する部分によってミシンは違います。

まず、登場しているのが、袖ぐりや、脇の下〜袖底を縫うアーム状の巻き縫いミシンです。

 

写真の手前、銀色に光る部品が二枚の生地を巻き込んでいき、針が落ちた向こう側はステッチが三本入っているのがわかります。

 

今回は、薄手のシャツ地なので、調整された国産の巻き縫いミシンを使っています。

ただ、薄手とは言っても、脇の下などは生地が16枚も重なるところがあり、かなりの段差になります。

そのため、ゲージという針をつける部分を通常の、三本が平行に並んだものから、「ユニオンゲージ」と呼ばれるユニオンスペシャルに使われていたのと同じ、トライアングル型のゲージに変えてあります。

 

 

 

折前たての縫製

次に縫っているのが前立て部分です。

ここも、金具「ラッパ」を使って、生地を折り込みながら縫製していきます。

上糸はホワイトで、下糸にはブルーを使っています。

 

針の幅は、インチで決まっており、最高12本まで横一列に針を入れることができます。

前立ての幅は、センチで言うと4.2。

これも、針の幅から逆算して決めています。

ビンテージのビッグヤンクなども、やはり同じで、針の幅から前立ての幅は決められています。

このように、製造工程によりデザインが自動的に決められていくのも、ワークウェアの面白いところです。

次は、ヨークと、三日月型の当て布を縫う、平台の三本針チェーンステッチミシンです。

機構としては、巻き縫いとほぼ同じですが、やはり平な台が無いと、大きい部品を載せて縫うのは難しいものです。

さらに、巻き縫いのように厚い物を縫わないので、ゲージは通常の三本が平行なものをセットしてあります。

下糸にはイエローをセットしています。

 

今回、チェーンステッチ部分は、ミシンごとに下糸を変えています。

よく、ビンテージである

「上糸は白だけど、下糸は色が違ってもOK」というあのいい加減な仕様を再現しています。

さすがに、何でもOKという訳にはいかないので、ミシンごとにブルー、イエロー、ホワイトと使い分けてみました。

 


最後は、前立ての下側を縫うミシンです。

これも、平台ですが、「縦二本環縫い」と呼ばれる、縦に二本針の入るチェーンステッチミシンです。

古いLeeのジーンズの脇縫いがこのミシンで、チェーンステッチが二重に走っているのを見たことがある方もいるのではないでしょうか。

今回は、その針を一本にして使っています。

 

このように、一口にチェーンステッチといっても、さまざまな形をしたミシンを使って縫います。

さすが、アメリカ。大量生産を前提で無いと、これだけの設備はそろわなかったでしょう。

今回、実際にシャツを縫うのは日本の工場ですが、1960-70年代にワークウェアの大量生産をやっていた経験のある工場です。

今では、あまり使われなくなってしまったミシンもあるのですが、倉庫から引っ張りだして調整したり、ラッパを新たに作ったりしています。

 

 

How to make them?
ワークシャツが出来るまで

 

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