縫製:ウォッチポケット

いよいよ縫製です。

今回もファーストサンプルを自分で縫いながら写真を撮ってみました。

ファーストサンプルなので、他のページの詳細で紹介しているのとは若干違います。

具体的には、どの程度まで粗い縫製が許されるのか試しているので、ステッチをわざとはみ出させたりしています。

量産時は、やはりある程度、落ち着いた仕様になっていますのでご安心してください。ビンテージ大好きな方には「粗い方が良い!」となるかもしれませんが。

まずはオリジナルのウォッチポケットです。

絶妙にラフな作りです。

仕様書を見ると、ウォッチポケットの作り方が出ています。

aで玉ブチ布、向こう布をロックするか、もしくは折って始末をするか。

bで1/8インチの両玉ブチ、日本ではモミ出すように作るので「モミ玉」などと呼ばれますが、英語ではDouble Cord Edgesと記載されています。また、片玉ブチ、どちらの方法も記載されています。

c、ポケットのステッチ。細かい向こう布や玉ブチ布を押さえるタイミング、袋布の手順などは書かれていません。

d、ポケットの大きさや深さが記載されています。

右に書かれている503は縫い目の種類、SSa-1は始末の仕方、6-8は1インチ当たりの運針、70/2は70TEXの2本撚り糸という意味で、上糸・下糸が指示されています。

type503のステッチです。

二本糸、一本針のロックをさしています。

という事で、二本糸、一本針のロック登場です。

簡単に書いていますが、現代では四本糸二本針や、そこから一本針を抜いて三本糸一本針がのミシンがほとんどです。

そこで今回、工場にこのためにミシンを改造してもらいました。

金茶の糸が二本針・二本糸。

カーキが一本針・二本糸です。

当然、機能としては二本針の方が上ですが、あくまでMIL-T-2064Aに従う事で当時の雰囲気を再現したい・・・なので今回は一本針・二本糸にこだわりました。

次に301、これはいわゆるシングルステッチです。

SSd-2とLSd-1は向こう布の生地端の始末をどうするか、を指示しています。

ステッチの仕様書を参照して・・・

始末の仕様書を参照します。

向こう布の始末はSSe-2、aのようにオーバーロックした生地を単純に重ねて縫うか

折って始末するかとあります。

 

これらの情報を元に実際に縫製していきます。

向こう布兼玉ブチ布、袋布に身頃です。

最終的に口の中心になる部分を合わせて1/8インチ程度のステッチをまずは打ちます。
裏から見るとこんな風に袋布までステッチが入っています。
この真ん中に、ノミを使って切り込みを入れ・・・

ひっくり返します。

当然ただひっくり返してはポケットにならないので、アイロンで始末しています。

本来の玉ブチは、この工程の前にY字に切り込みを入れ、縦にも地縫いを入れるのですが、今回の極細玉ブチではそれを入れる余裕がないので、地縫いは入れません。

最終的に左右はカンヌキ止めでつぶしてしまいます。

裏から見たところです。

確かに縫い代が、コードと呼ばれる部品のようになって、これを巻き込むようにアイロンで始末しています。

少し端折りましたが、向こう布をつけた袋布を中縫いしました。
最後に、上側のステッチを袋布まで貫通させてうっています。

これで一応完成です。あとで左右にかんぬきを止めます。

ファーストサンプルなので、わざとラフなステッチで始末してみました。

やはり、ちょっと不格好なので、量産時はもう少し綺麗に始末します。

実物と比較してみて・・・

確かにラフです。

量産では、最初の地縫いをして、ノミを入れる部分に機械の手を借ります。

もちろん、昔と全く同じに手でやるのも良いのですが、べらぼうに手間がかかりどんどん値段が上がってしまいます。

そこで、文明の利器も使い値段を抑えつつ、昔の風合いを再現する・・・それこそがWorkersらしい製品作りです。

ただ、文明の利器といってもすることはごく単純で、1/8インチにセッティングされた針で縫いながら真ん中にあるメスで生地に切れ込みを入れていくだけです。

もちろん、ポケットの長さはセッティングすることができるので人間よりも早く、正確に同じ大きさのポケットを作るこどができます。


縫製:サイドポケット

続いてサイドポケットの縫製です。

a.向こう布の端をロックしてたたく、もしくは折ってたたく。

b.ポケット見返しの端をロックしてたたく、もしくは折ってたたく。

c.コントラクターラベルを縫いつける

d.ポケットを身頃と地縫いし、ひっくり返す。1/4インチのシングルステッチで縫う

と大まかに書くとこんな手順です。

左から、向こう布・袋布(ポケット本体)・ポケット見返しです。

今回は、脇が巻き縫いのダブルステッチであるため、少しでも厚みを軽減する必要があります。

また、参考にした実物も、各部はロックしたものをたたきつけていたため、それにならい、向こう布、見返しともにロックたたきつけにしています。

見返しの下側です。

オリジナルと同じく断ち切り、ここも後々、巻き縫いで折り返して、縫い目の中に入ってしまう部分なので、厚みを減らすためにあえて断ち切りにしています。

袋布のスレキが控えられています。

これも後々、腰裏をつける時に厚くなりすぎてごろつくのを防ぐため、設計段階からこのような工夫がなされています。

ポケットと地縫いをして、アイロンを使い、ひっくり返したところです。

次に登場するのがダブルステッチの平ミシン。

1/4インチのシングルステッチで・・・と指示されていたので、今回、他のページで紹介しているサンプルはこの1/4インチダブルステッチミシンで縫いました。

 

ただ、ファーストサンプルを作った時にはちょうど、そのミシンが他の用途に使われていたので普通の一本針ミシン、これをガイドをつけて二度縫いしています。
次に、袋の底を地縫いします。
ひっくり返して、袋の底を今度は押さえ縫いします。
最後に、ポケットの後でかんぬきをする位置まで、止めステッチを入れてポケットの完成です。
カンヌキを打つ位置までが縫いつけられているのがわかると思います。

 

How to make them?

 

Detail-各部詳細

 

 

Detail After Washed
各部詳細 洗い後

     

 

Look

Lot800 Lot801

 

 

 


 

Workers