縫製
前立て


今回、一番工夫したのが前立ての縫製仕様です。

では、順を追って・・・

まず、これから縫製に入る左前見頃の裁断地です。

この裾周りを三巻していきます。

ここで登場するのが、「ボールへマー」と呼ばれる、三巻専用の押さえ金です。

生地を巻き込みながら、三巻していきます。

幅は多種多様なのですが、今回は、4.8mmを使用しています。

「なんだ、金具で誰でも出来るのか」と思われるかもしれませんが、なかなかどうして。

この金具を使って縫うのも、なかなかコツがいるものです。

最後に、マチをうまく挟み込んで、縫い終わりです。

マチの挟み込みが終わりました。

脇線からマチ、そして、一番下まで、きれいな曲線を描いています。

ここが、妙にガタガタしていると、後々、巻き縫いが出来なくなってしまいます。

常に、次の工程を考えながら縫っていきます。

おなじみの、関西スペシャルです。

数多い関西スペシャルの中でも、この一台は、シャツの前立てを縫う事に特化した機種です。

これに、銀色のラッパを設置し、前立てと、ロール状にカットした芯(これは糊無しです)をセットして、まずは先に前立てだけを縫っておきます。

ラッパという金具の調整も重要で、きちっと左右のステッチが均等に入る位置にセッティングします。

実は、このセッティングに結構時間がかかります。私が神経質だからもありますが・・・


そして、今度は、そこに左から先ほどの身頃を差し込み縫って行きます。

押さえ金にも、ガイドがついていて、前立てが左右に振れるのを防いでくれています。

さぁ、前立てが身頃につきました。

前立て自体はすべて縫いつながれ、長い一本の帯状になっています。

そこに、左から次々と身頃を差し入れて縫って行きます。

つまり、量産の時には、この上にも、下にも、次の身頃がいるわけです。

前立てをカットしました。
そして、アイロンを使って、三角に折り、平ミシンで始末をしていきます。

裏から見ると、このようになっています。

やはり、見た目にはクラシカルで雰囲気の良い仕様ですが、どこまでも手間のかかる仕様です。

現代に廃れてしまったのも納得がいきますが、そこをあえて、今回は蘇らせていました。

 


袖ぐりの折伏せ縫い・・・

実に、地味ながら、やはり手間がかかっているのが袖ぐりです。

表から見ると、1本ステッチ、裏から見ると2本・・・ではなく、実は3本ステッチが入っています。

�@最初に、袖を折りながらステッチをかけていきます。

これが、下の写真の右側のステッチです。

これは、やはり「二つ折りラッパ」という金具を使いながら縫ってきます。

�A次に、見頃を乗せ、いわゆる「地縫い」をかけていきます。

下の写真、左側のステッチがそれです。

�B身頃を起こして、最後に表から、�@のステッチ目がけて、もう一度ステッチをかけていきます。

 

なぜ、このように、手間のかかる仕様にしているのかというと、これらの工程をいわゆる「アメリカ製ボタンダウンシャツ」はすべてチェーンステッチで行い、スピードアップを図っているのです。

いわゆる「折伏せ縫い」と言えば、�@の工程はアイロンで行われます。

そこを、ラッパ(金具)を使い、さらに、糸の交換の手間がほぼいらないチェーンステッチで縫ってしまうのです。

急がば回れ方式・・・とでも言えば良いのでしょうか。

当然、�A・�Bの工程もその、生産性の高いチェーンステッチ。アメリカ的に言えば「3回縫ってるんだから、多少ほつれやすいチェーンでも大丈夫!」というところでしょう。

 

ただ、今回は、綿糸。さらに、一番ストレスがかかる袖ぐり。

そこで、あえて糸がしばしば無くなり、交換する手間はありますが、シングルステッチの三回縫いで仕上げました。

 

 

 

How to make them?
Lot.20が出来るまで

 

Lineup-ラインナップ 画像をクリックするとサイズ表をご覧いただけます。

 


Detail-各部詳細

 

 

The Looks.
ボディに着せてみたシルエット


 

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