ダーツが半身二本。絞りが分散されているのでヒップの丸みがとてもきれいに出ています。
人間の体はヒップ~ウェストにかけて、タテに大した距離は無いのにものすごくグルリの寸法が変化します。ここをどうやって処理するか・・・がパンツの勘所。
ジーンズはダーツは使わないで「シュリンクトゥフィット」で解決していました。シュリンクトゥフィットが無くなってからは正直、ジーンズはダーツの無い型紙だと独特の窮屈さがありました。ダーツ分量をヨークに振り分ける方法もあり、自分でも形にしてみましたが、それはそれで「クラシックなジーンズらしさ」からはかけ離れる。
今では、ストレッチ生地があるのでダーツ分量が無いジーンズでもある程度楽に、着心地よくはけるようになっています。
軍パンは、ダーツがあるものもありますが無いもの、例えばベーカーなどはウェストを大きめに作って調整ボタンで閉めることでダーツの代わりにしたり。調整バックルも同じ考え方です。
股上を深くして対応しているものもあります。ウェストに対してワタリを出す。このヨコ方向に思いっきり出した分、股上が深くなっている・・・という考え方です。
で、今回のチノパンはダーツ、それも複数本使って分散させてヒップの丸みを出しています。
トラウザーズでフロントにタックがある、あれもヒップ周りの横方向を出してゆとりを持たせ、体が動いた時に突っ張らない。
とこのように、調整ボタン、バックル、タック、ダーツ。色々な方法はありますが、どれも人間の体の「デコボコ」を処理しつつ、体が動いた時に突っ張らないよう、必要なゆとりを出そうという考えのもとに工夫されてきた痕跡です。
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