今回のオックスは4.5オンスほど。いつも使っているスーピマコットンオックスより少し薄手。かつ、綿（めん）をスーピマに限定せず、コーマ（櫛）ですいて短繊維を落とした綿。ワタを指定しない分、今回のオックスを作るのに適したワタの中でその時リーズナブルに手に入るワタを使えるわけです。

ワタは自然のものなので年により出来栄えが違う。さらにスーピマのように、品質＋ブランド名がついていると、その名前に惹かれて需給が変わって値段が高騰することがあります。それでも、スーピマもよい素材なので、作る製品に品質・価格が合致するものは今後も使いますが、今回の「もう少し薄手で、夏に着て・洗ってを繰り返せるリーズナブルな生地は？」と探したのが今回のコーマコットンです。

一般的に、コーマ（櫛）での短繊維を落とす、さらにガス焼きという、火を使って短繊維を落とす方法もあります。これらをすると糸が痩せる、その分、細く、長い繊維だけが残る。どんどん高級糸、細い糸、薄い生地に向いている・・・となっていくわけです。

それに対し、デニムは基本的に太い糸で作るので、コーマもしていない、短い繊維でも糸になる。

適材適所。最終的に、どのような生地にしたいかで、原料なり、その原料をどう加工して、どのような糸にするのかが決まります。

「素材が何だから最強」「何々仕上げで高級」とか、そういう不確かな情報に踊って買い物するのはやめましょう。

マドラスはおなじみ「インド製です！色が滲みます！」ネーム。正直、昔のマドラスほどにじみませんが、それでも、堅牢度（色の定着度）は日本の生地より悪いので、注意書き兼、マドラス感も出るのでネームをつけています。

このネームも古着見ていて「なんでわざわざついてるの？」と読んでみると、マドラスの説明書きでした。こういう、なんてことないネーム一つでも、子供のころは「英語で読めないけれどかっこいい！」と思ってしまったし、読めるようになると「そういう意味があったのか」と楽しんでいました。

襟先ぎりぎりのボタン。簡単そうで難しい。

私が、まだ工場勤めしながら、穴あけ一つも「ああしてほしい、こうしてほしい」と、横について指示してた時に一番難しかった襟先のボタンホール。まず、精密に角度を合わせること。

次に、厚みに違いがある（穴あけ部分は薄く、襟先は生地が重なり厚い）場所に、長い抑え金（金具）が乗っかりホールを開けるので、うまくセッティングしないと、目が飛ぶ。

今、お願いしている山崎産業＆総社縫製さんはさすがシャツばっかり作ってきただけありうまいです。独特の治具を使っています。やはり、こういう部分は「そればっかり作ってる」工場さんのノウハウが生きます。