矢印部分、このパンツを縫うのに一番つらいところ、斜めに厚みを乗り越える部分。ここも中の生地をそいだり、最初に折癖をつけて置いたり、「工夫」で何とかする部分。それでも多少はステッチがよれるのはもう避けられません。

ここを逆に巻く、今は前身頃高なのを後ろ身頃高にすればとても簡単。実際、今の世の中にあるパンツ見ると後ろ高もかなりあります。それでもあえて前高、さらに縫い代が分厚くなってしまう巻縫いを「あえて」やるのは、古着のあの雰囲気が好きだからです。縫い代がお互いに巻き込まれて見えないのできれいな事も、もちろん巻縫いの良い部分です。でも縫うのが大変・・・それは自分でも昔縫ってみてわかっているので工場さんに頼むとき、ちょっとでもやりやすいように成らないかな？と毎回、縫い代を工夫したり、カーブのライン試行錯誤したりしています。

あえての小股ダブルステッチ。ビンテージのチノパン、ここが地縫い一本が多いのですが、中にはこんな風にダブルステッチの物もあります。強度考えるとダブルステッチのほうがベターなので、あえてのダブルステッチにしています。地縫い+棒シックもあれはあれで良いのですが。

私自身が服好きなので、どの仕様もそれぞれ良さを感じてしまいます。強度や雰囲気、工場の向き不向き。色々要素があるので。これが「WORKERSのこの仕様が一番！だからそれをやるWORKERSがNo1！」みたいに簡単に割り切れれば物は売りやすいのだろうなといつも思います。でも、服に1番も2番も無く、先ほどの強度や雰囲気、工場や設備の向き・不向きで仕様が決められている話だと私は思います。

裾三巻。簡単そうですが、巻縫い4枚をさらに3つ巻きするので12枚を乗り越える。その手前は3枚。だから、ものすごい段差を乗り越えることになります。たまに、街のおばあちゃんがやってる、いかにもパワー無さそうなミシンしかないお直し屋さんに裾上げ出されることありますができればやめてください。おばあちゃんにこの厚み縫わせるのは、気の毒なので。

もっとジーンズの裾上げやってるような、パワーあるミシン使ってる所がベターです。