C.C.Filson
フロントはヒヨク始末。帯はシングルステッチ始末。ここはチェーンではさすがにきついのでしょう、場所によってはミシンを落として少しでも薄いところをたたこうとしています。
ヒヨク、ホールの間にはヒヨクを止めるステッチ。ただ、そのステッチもここにしか無いという中途半端な仕様。
さらに、身頃の見返しにあたる部分はグリーンの別布が見えます。これは厚みを少しでも薄くしようという工夫でしょう
持ち出しのボタンもS字ワイヤーの入ったドーナツボタン。サスペンダーボタンより一回り小さいものが使われています。
今回一番泣かせる仕様。
まず後ろ身頃の先に謎のステッチが二本走っています。これは、二重になった生地をそのまま縫い合わせようとすると厚みがありすぎます。そのため、裏に重なる部分を三角に折って縫いとめているもの。
さらに、前・後ろを縫い合わせる巻き縫いの上に別布が当てられています。これは縫い目の混む部分の補強もあるでしょうが、それ以上にこの部分は厚みがありすぎておそらくうまく巻けません。そのボロを隠す意味合いもあります。
裏から見るとこの通り。
手前の布が前身頃の持ち出し(ボタンを打つ部分)が股下まで延長してきている部分。何もこれを入れなければ少しでも薄くはできるのですが。
真ん中、左上から右下に走るのが巻き縫いの上に当てられた布。その下にはチェーンステッチが二本走っています。
向こう側、後ろ身頃の突端、三角に折られダブルステッチで止められています。
一応「古い」とされるFIL-CLOのラベルですが、手元にFILSONのカタログもありませんのでラベルからの年代特定はあえて避けます。
単純に、かっこいい織りネームで、MIGHT AS WELL HAVE THE BESTという、フィルソンのキャッチコピーが書かれています。 というのもフィルソン自体、昔から同様の製品と比較しても高価だったようで、その高価な製品を売るにはこのようなキャッチコピーが必要だったのだと思います。
Workers