右身頃、極細の両玉ポケットは「もみ玉」などとも呼ばれます。
玉ぶち布を地縫いし、ノミやハサミで切れ目を入れ、もみ出すように玉ぶちを作ることから呼ばれる名です。
実に手間のかかる手法で今ではテーラードジャケットや、比較的高級なトラウザーズなどで一種「手間をかけてます」という証のようにも使われています。
ところが比較的古い年代の服には、たとえワークウェアやユーティリティはしばしば見られます。また、その作りも実に「好い加減」。左右は、適当に始末して、裁ち端が出そうならカンヌキで隠すという、いかにもワークウェアらしい始末がされています。
注目は、脇の縫製で、ワークウェアでおなじみ、二本針の巻き縫いが登場しています。さらに、内股も巻き縫いされています。
私の想像ではスペック上の制約というよりは、戦時、工場に既にあった縫製ラインの制約からこのようなバリエーションが生まれたのではないか・・・と思います。
分業制による生産をしようとすれば、ボトルネック(作業が止まる部分)が起きないように、工程を分析し、各工程の所要時間と必要な設備を検討します。
各部の縫製仕様を観察すると、先日紹介したトラウザーズ とは明らかにオーバーロックミシン、巻き縫いミシンの台数が違う製造ラインが推測できます。
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