Crown Overall Manufacturing Co

Founder Oscar Berman

1903年4月、ネクタイセールスマンであったオスカーベルマンはローレル社の株式を購入しました。

ローレル社は東パール通りにある、小さなビルでオーバーオールから下着まで、さまざまな製品を製造していたミシンわずか14台の小さな会社でした。しかし、その少ない製造ラインすら埋められないほど、仕事の受注はひっ迫していました。

オスカーベルマンは慎重に検討し、このビジネスを成功させるためには何か大きな変革が必要だと気付きました。

具体的には、こまごまと多種多様な製品を作るのではなく、オーバーオールの製造への注力、これこそが”The best for the money”と結論づけました。

 

次のネクタイセールスの旅に、彼はオーバーオールのサンプルを持って行きました。

そのサンプルは大盛況で、彼は数多くのオーダーを受け、ローレル社にそのオーダーを伝えました。彼は誰が言うでもなく、いつの間にか、オーバーオールのセールスマンになっていました。

ローレル社は、仕事が無くて困る状況から一変。今度はベルマンの受注してくるオーダーを受けるだけのキャパシティが足りなくなっていました。

 

ベルマンは旅から帰ると、ローレル社のマネージャー、パートナーが体調を崩し、西方へ静養に出る準備があることを知ります。

そこで、ベルマンはネクタイセールスマンを辞し、オーバーオールビジネスの冒険に旅立ちます。

ローレル社は清算され、ベルマンの手元には、最初に投資した64ドルが2000ドルになり返ってきました。また、ミシンやいくらかのデニムなどの設備も彼の資産となりました。

この2000ドルと資産を再投資し、”Crown Overall Manufacturing Company”が誕生しました。

 

1903年10月、S.Levyがパートナーとなり、彼も2000ドルの出資をし、さらに会社は3000ドルの借り入れをしました。

最初の年こそ、利益わずかに107ドルでしたが、それにも気弱になることなく、
”The best for the money”
のポリシーを変えずに挑戦を続けました。

その後、他社を圧倒する品質、価格により 事業は成長を続けます。

 

1913年、ベルマンはパートナー・レビー氏の株式を購入、すべての株式を取得するにいたります。

これまでも、工場の拡張は行われ、機械あたりの生産効率も今まで以上の数値を達成していましたが、尚、工場の土地は不足していました。

ついには、プラムストリート3、マクファーランドストリート沿いに、新たな土地を取得し、当時としては最先端の鉄筋コンクリート製ビルを建設します。

ビルはスポンサーであるオスカーベルマンの基本的思想をデザインに活かし、無駄なくオーバーオールの製造から発送まで行えるように設計されました。

(補:Al Neyer inc によれば、1903年に建築されたビルですが、厳密に何年ごろ、クラウン社がこのビルを手に入れたのか、 クラウンの社史は明確にしていません。)

 

以上、クラウン社による社史を要訳しました。

 

これ以外に、同社の歴史で特筆すべき点は、確認されるだけでも1938年以降、HEADLIGHT and CROWNというように、ヘッドライトブランドを持つラーンドカーター社と共に広告や封筒などに登場していました。

参考:CROWN and HEADLIGHT Overalls Envelope

1960年代にはラーンドカーター社と共にカーハートに買収・合併され消滅しました。

 

文中に出てきた、プラムストリートの本社ビルは現存しています。

その詳しい写真と、当時の社内の様子などは

Photographic Records of Crown Overall Mfg. Co.

をご覧ください。

 

CROWN、その名の通り王冠のマークはクラウン社のトレードマークです。

王冠の中のB&Lは
・創業者Oscar BermanのBと
・共同出資者S.LavyのL

であろうと思われます。

クラウンというブランドを根付かせる事を第一に考え、社名をB&Lではなく、あえてブランド名と同じにした、と社史には書かれています。

 

王冠は、広告以外にも、チェンジボタンにも登場します。

カーハートと並んで、とても手の込んだ美しいデザインのチェンジボタンです。

 


Date
社名: Crown Overall Mfg Co
創業年: 1903
創業者: Oscar Berman
創業地: Cincinnati Ohio

参考文献:Making the World's Work Garments, - Crown Overall Mfg Co

今回、クラウン社自身が出版した社史を元に構成しているので、かなりバイアスのかかった内容になっています。年号などは、正確だと思われますが、表現など同社びいきであることをご了承ください。

Back to Manufacturers

 

Workers